学「さて、当時のイタリア半島の混乱と衰退は分かったかな?」
生「は〜い」
学「当時、大国の思惑渦巻くイタリア半島の中で、唯一その利害関係から、完璧とは言えないまでも遠ざかっていたのがヴェネツィア共和国でした。」
生「北イタリアの併合を目指していたフランス王は、ヴェネツィアを攻略しなかったの?」
学「ヴェネツィアは当時、教皇ユリウス2世のせいでイタリア半島における領土、影響力の大部分を削られていました。またヴェネツィアの国力のほとんどは交易と海軍力にあった為、陸の国家であるフランスにとっては魅力的なものに写らなかったのでしょう。」
生「既に凋落が始まっていたのね」
学「ヴェネツィアは元々地中海が基盤の国家です。コンスタンティノポリス(ゲーム中のイスタンブール)やアレクサンドリアから得る東方貿易の利益こそがヴェネツィアの国力を支えていました。」
生「どうしてそれが凋落してしまったの?」
学「長らく続くオスマン帝国との対決で国力を疲弊した事、そして経済的にもちつもたれつであったオスマン帝国が急速に衰亡していった事が原因でしょうね。」
生「戦いつつももちつもたれつ?」
学「そこが複雑な所ですね。オスマン帝国はスルタン・マホメッド2世がコンスタンティノポリスを占領し、そこを首都にして以来、地中海交易の最重要拠点を得ました。しかし元来陸の国家であるオスマンには海運のノウハウがありません。そこでオスマンはヴェネツィアやジェノヴァの商人たちに交易を任せ利権を委ねる代わりに、税をとってそれを国庫に収めていました。」
生「それが何で戦争を?」
学「オスマン帝国は宗教国家です。国家の主であるスルタンの目的は『全世界にアラーの教えを広め、邪教徒を殲滅する事』でした。オスマン帝国の大帝スレイマンは、バルカン半島を制圧した後オーストリアのウィーンまで遠征を行っています。後にこれを模倣した歴代スルタンはキリスト教圏への遠征を繰り返し、ヴェネツィアとの対立、講和を繰り返していくのです」
生「宗教戦争だったんだ。」
学「結果としてこれはヴェネツィア、オスマン両国の国力を弱める事となりました。また、時代は地中海から太平洋へと舞台を移します。ヴェネツィア自体は大航海時代の激動を乗り切りますが、かつて地中海の主として歴史に君臨した威光はついに取り戻せませんでした。」
生「成る程〜」
学「さて、次回からはフランスです。」
生「あれ、ヴェネツィア編はもう終わり?」
学「元々この時代のヴェネツィアは既に小国、イタリア半島の混乱を説明できればそれで良いんです。ヴェネツィアに関しての詳しい事情を知りたい方は、塩野七生先生の著書『海の都の物語〜ヴェネツィア共和国の一千年〜上・下』を読む事をお勧めします。」
生「投げやり〜」
学「うるさいですよ。ではまた次回、お会いしましょう」

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